建築確認申請は代行できる?費用や相場、外注するメリットを解説
このコラムをざっくり説明すると
建築確認申請は、設計者や工務店がすべて自社で対応しなければならないわけではなく、専門家へ外注することができます。実際、申請書の作成だけでなく、申請図書の確認、図面作成、確認検査機関への提出、審査中の質疑・補正対応などを外部へ任せるケースは珍しくありません。費用は木造戸建住宅で10万円前後から20万円程度が一つの目安ですが、建物の規模・構造・用途、図面の完成度、依頼するサポート範囲によって大きく変わります。今回はアーキテクト計算センターの実務側から、建築確認申請を外注できる範囲、費用相場、外注するメリット、依頼先を選ぶ際のポイントまで詳しく解説します。
建築確認申請は外部へ代行を依頼できます
「建築確認申請だけを外注することはできますか?」というご相談を私たちもよくいただきます。結論から言えば、建築確認申請に関する業務を外部へ依頼することは可能です。実際に設計事務所や工務店、住宅会社などが、確認申請業務の全部または一部を外部の専門会社へ委託するケースは数多くあります。
建築士法第21条でも、建築士が行うことのできる業務として、設計や工事監理だけでなく「建築物の建築に関する法令又は条例の規定に基づく手続の代理」が定められています。国土交通省の資料でも、建築士が行うことのできる業務として、この手続代理が明記されています。
ただし、ここで少し注意していただきたいのが、「建築確認申請代行」という言葉の範囲です。単純に完成した書類を提出するだけなのか、申請書を作成するのか、申請図面も作成するのか、法規確認まで行うのか、確認検査機関との質疑対応まで行うのかによって業務内容は大きく異なります。また、設計図書の作成など、建築物の規模や内容によって資格が必要になる業務もあります。そのため、確認申請を外注する場合は「代行してくれるかどうか」だけではなく、「どこまで対応してもらえるのか」を確認することが非常に重要です。
建築確認申請代行ではどこまで任せられる?
私たちが考える建築確認申請代行の一番のメリットは、単純に申請書を作ってもらえることではありません。確認申請に伴って発生する細かな作業をまとめて外へ出せるところにあります。
例えば、すでに設計図面が完成している場合であれば、申請書や建築計画概要書などの作成、申請図書のチェック、確認検査機関への提出だけを依頼する方法があります。一方、図面がまだ完全に整っていない場合には、申請に必要な図面の確認や不足事項の整理から依頼するケースもあります。さらに申請後には確認検査機関から質疑や補正依頼が届くことがあり、その内容の確認、設計者との調整、申請書や図面の修正、再提出まで含めて対応する代行会社もあります。
| 業務内容 | 代行を依頼する場合の主な内容 |
|---|---|
| 申請書類作成 | 確認申請書、建築計画概要書等の作成 |
| 申請図書チェック | 必要図面、記載事項、不足資料等の確認 |
| 申請図面作成・修正 | 対応範囲に応じて申請用図面を作成・修正 |
| 法規確認 | 建築基準法や関係規定との整合確認 |
| 確認検査機関への申請 | 電子申請や窓口等による提出手続き |
| 質疑・補正対応 | 審査機関からの指摘内容の確認と補正 |
| 確認済証取得までの進行 | 審査完了までのやり取りをサポート |
すべての会社が上記すべてに対応しているわけではありません。そのため、建築確認申請を外注するときには「確認申請代行一式」という言葉だけを見るのではなく、どの工程まで見積金額に含まれているのかを確認してください。
建築確認申請代行の費用相場はいくら?
やはり一番気になるのは費用だと思います。建築確認申請代行については全国共通の定価があるわけではなく、建物の用途、規模、構造、階数、申請図面の状態、依頼する業務範囲などによって金額が変わります。一般的な公開料金などを見ると、木造戸建住宅では10万円前後から20万円程度、サポート範囲が広いサービスでは30万円前後になるケースもあります。例えば住友林業アーキテクノでは、2階建て一戸建て住宅の建築確認申請を115,000円(税込)からとしていますが、構造や建物用途などによって料金が変わるとしています。
アーキテクト計算センターでこれまで整理している一般的な目安としては、次のような価格帯が一つの参考になります。ただし、これはあくまで目安であり、実際には案件ごとの見積もりが必要です。
| 建物の種類 | 建築確認申請代行費用の目安 |
|---|---|
| 木造戸建住宅 | 約8万円~20万円 |
| 木造アパート | 約15万円~35万円 |
| RC造共同住宅 | 約30万円~80万円 |
| 鉄骨造事務所・店舗 | 約20万円~60万円 |
| 工場・倉庫 | 約30万円~100万円以上 |
ここで注意していただきたいのが、この金額とは別に確認検査機関へ支払う「確認申請手数料」が必要になる場合があることです。代行会社へ支払う費用と確認検査機関へ支払う審査手数料は別物です。また、省エネ計算、構造計算、省エネ適合性判定、BELS、各種条例対応などが必要な場合には、それぞれ別途費用が発生することがあります。
同じ建物でも代行費用が違う理由
例えば、同じ延べ100㎡程度の木造2階建て住宅であっても、確認申請代行費用が同じになるとは限りません。実際の見積もりでは、面積以上に「どの状態から仕事を引き継ぐのか」が重要になります。
配置図、平面図、立面図、断面図、構造関係図書、省エネ関係図書などが揃っており、法規検討も終わっている案件であれば、こちらの作業は申請書作成と提出、質疑対応が中心になります。一方、平面図と立面図程度しかなく、申請に必要な図面を追加したり、法規確認を行ったり、構造や省エネ関連の資料との整合を確認したりする必要がある案件では、当然ながら作業量が増えます。
さらに、申請後の質疑対応をどこまで行うのかも金額に大きく影響します。確認検査機関からの指摘をそのまま設計者へ転送するだけなのか、指摘内容を読み解き、修正方法を整理し、図面修正まで行うのかでは必要な時間がまったく違います。建築確認申請の見積もりを見るときには、「15万円だから安い」「25万円だから高い」という比較ではなく、その金額の中に何が含まれているのかを見ていただきたいと思います。
2025年4月以降は確認申請の負担が増えています
建築確認申請の外注を検討している設計事務所や工務店の方に、ぜひ知っておいていただきたいのが2025年4月1日に施行された建築基準法・建築物省エネ法の改正です。2025年4月以降は原則すべての新築住宅・非住宅について省エネ基準への適合が義務化されました。また、いわゆる4号特例の見直しによって、木造2階建てや延べ面積200㎡を超える木造平屋などでは、確認申請時に構造・省エネ関連の図書を提出する必要があります。
これは確認申請の実務を行っている私たちにとっても大きな変化です。以前であれば比較的シンプルに進められた木造戸建住宅でも、現在は構造と省エネを含めた申請図書の整合がより重要になっています。国土交通省も、木造2階建て等について、確認申請書・図書に加えて構造関係規定等の図書や省エネ関連図書が必要になることを案内しています。
つまり、2025年4月より前の感覚で「住宅の確認申請だからそれほど大変ではないだろう」と考えていると、思っていた以上に社内の設計担当者が申請業務へ時間を取られてしまうことがあります。法改正後の確認申請にまだ慣れていない場合には、申請業務そのものを外部へ切り出すことも一つの方法です。
建築確認申請を外注する最大のメリットは「時間を買えること」
私たちが確認申請代行をおすすめする理由として一番大きいのは、設計者の時間を確保できることです。建築確認申請を自社で行えば、外注費は発生しません。しかし実際には、申請書を作成し、図面を整理し、必要資料を確認し、確認検査機関へ提出し、審査が始まれば質疑へ回答し、補正図面を作成して再提出する必要があります。この作業に設計担当者が何時間使っているのかまで考えると、「自社でやれば無料」とは言い切れません。
特に複数案件を抱えている設計事務所や工務店では、一人の担当者が確認申請に追われることで、プラン作成、顧客との打ち合わせ、実施設計、施工側との調整など、本来取り組むべき仕事が後ろにずれてしまうことがあります。私たちは、建築確認申請代行の費用は単なる「書類作成費」ではなく、設計担当者の時間を確保するための費用として考えていただくと分かりやすいと思っています。
例えば一つの確認申請で設計者が数日間断続的に対応するのであれば、その時間を新しい案件の設計や顧客対応に使ったほうが会社全体として効率的な場合があります。特に確認申請案件が月に何件もある会社では、申請作業の一部を外注するだけでも社内の負担はかなり変わってきます。
繁忙期だけ確認申請を外注する方法もあります
建築確認申請代行というと、「これから確認申請は全部外注する」というイメージを持たれる方もいますが、必ずしもそうする必要はありません。普段は社内で対応し、案件が集中したときだけ外注する方法もあります。
設計事務所や工務店では、案件が均等に入ってくるとは限りません。確認申請が同じ時期に3件、4件と重なれば、通常であれば問題なく対応できる社内体制でも一気に余裕がなくなります。そのようなときだけ確認申請を外部へ出せれば、人員を新たに採用することなく業務量の波を吸収できます。
また、「申請書作成だけ」「確認申請と質疑対応だけ」「省エネ計算と確認申請をまとめて」など、必要な業務だけを切り出す方法もあります。確認申請代行は、すべてを丸投げするサービスというより、社内で不足しているリソースを必要な分だけ補うサービスとして使っていただく方が実務には合っていると私たちは考えています。
外注すると申請の手戻りを減らせる可能性があります
確認申請で意外と時間を取られるのが、「提出するまで」ではなく「提出した後」です。確認検査機関から指摘を受け、設計者が内容を確認し、図面を修正して再提出する。このやり取りが一度で終わればよいのですが、複数回続くとかなりの時間が必要になります。
もちろん専門会社へ外注したからといって、審査機関からの指摘が一切なくなるわけではありません。しかし、確認申請を日常的に扱っている担当者であれば、申請前に不足図書や整合性を確認し、審査で確認されやすいポイントを意識しながら準備を進めることができます。その結果、申請後のやり取りをスムーズに進められる可能性があります。
特に2025年4月以降は、構造や省エネに関する図書が確認申請とより密接に関係するようになっています。意匠図ではこの仕様、省エネ計算では別の仕様、構造図ではさらに別の仕様になっている、といった不整合があれば確認や修正が必要になります。申請書だけでなく関連図書全体を見ることができる外注先を選ぶことは、今後ますます重要になってくると考えています。
建築確認申請代行会社は「価格」だけで選ばないでください
確認申請代行会社を探すと、5万円程度から対応している会社もあれば、20万円、30万円以上になる会社もあります。これだけ価格差があると、どうしても安い会社へ目が向きます。しかし、私たちは価格だけで比較するのはおすすめしていません。
確認していただきたいのは、申請書作成だけなのか、図面チェックが含まれるのか、図面修正まで行うのか、確認検査機関への提出を行うのか、質疑対応が含まれているのか、省エネや構造まで相談できるのか、そして追加料金が発生する条件が明確になっているかです。
例えば10万円の見積もりでも質疑対応がすべて追加料金であれば、最終的に15万円、20万円になる可能性があります。一方、最初から20万円でも、図面確認から申請、質疑、補正まで含まれているのであれば、結果として後者の方が社内負担を抑えられることもあります。見積金額を見るときには「確認申請代行一式○万円」の数字だけではなく、その一式の中身まで比較してください。
こんな設計事務所・工務店なら外注を検討してみてください
私たちが実際にご相談を受けていると、確認申請を外注する会社には共通する悩みがあります。案件が増えて設計担当者が申請まで対応できなくなっている会社、確認申請を担当していた社員が退職してしまった会社、2025年の法改正後の申請方法に不安を感じている会社、省エネ計算や構造関係資料も含めてまとめて相談できる外注先を探している会社などです。
特に、「仕事はあるのに申請業務がボトルネックになって案件を増やせない」という状態であれば、確認申請業務を外へ出す効果は大きいと思います。確認申請のためだけに新しく社員を採用する場合には、給与だけでなく採用費、教育費、社会保険なども発生します。一方、外注であれば案件があるときだけ費用が発生するため、固定費を増やさずに設計部門の処理能力を増やすことができます。
私たちは「確認申請を自社で行うか、外注するか」はどちらが正解という話ではないと考えています。社内に十分な人員とノウハウがあるのであれば自社対応で問題ありません。ただ、設計者が確認申請に追われ、本来の設計業務が遅れているのであれば、一度外注した場合の費用と社内工数を比較してみる価値はあります。
建築確認申請の外注ならアーキテクト計算センターへご相談ください
アーキテクト計算センターでは、設計事務所、工務店、建設会社などから建築確認申請に関するご相談を受け付けています。「確認申請だけお願いしたい」「申請図面の確認からお願いしたい」「確認検査機関との質疑対応まで任せたい」「省エネ計算も含めてまとめて依頼したい」など、案件ごとの状況に合わせてご相談いただけます。
建築確認申請代行の金額は、建物用途、構造、延べ面積、階数、現在揃っている図面、申請図書の作成状況、質疑対応の範囲などによって変わります。そのため、正確な金額を知りたい場合は、現在お持ちの資料を一度見せていただくのが最も早い方法です。
まだ図面がすべて完成していなくても問題ありません。建築物の用途、構造、階数、延べ面積、建築予定地、現在作成済みの図面などをお送りいただければ、どの部分をこちらで対応する必要があるのかを確認したうえでお見積もりいたします。
「確認申請に時間を取られて設計が進まない」「案件が重なって申請まで手が回らない」「2025年の法改正後の確認申請に不安がある」という設計事務所・工務店の方は、ぜひアーキテクト計算センターへご相談ください。確認申請業務を私たちに任せていただくことで、皆さまが本来時間を使うべき設計や顧客対応に集中できる体制づくりをお手伝いします。まずは現在お持ちの図面を添えて、お気軽にお見積もりをご依頼ください。




